子供と絵本と楽しいコト
『おおきな木』
おすすめ度
ジャンル:LOVE&
読んであげるなら6歳~
自分で読むなら小学校低学年~
無償の愛を語るならこの作品ほどふさわしいものはないと思う。
仲良しだった1本のりんごの木と少年。幼い頃は木登りしたり、木陰で昼寝をしたり、一緒にいるだけで安心できる関係が、やがて少年が成長するに従い、木に要求するようになります。
お金が必要と少年が求めればりんごを与え、大人になった少年が家が欲しいと言えば枝を与え、中年になった男が遠くへ行きたいと言えば、船を作るための幹を与え、老いた男が安らぎたいと言えば切り株になった身を捧げる…。
一見、無情にも思える男の要求と自らを犠牲にしてまでも与え続ける木との関係は、愚かに思えるかもしれない。
でも、「愛」とはまさにこういうものなのではないでしょうか?
GIVE&TAKEの関係ではなく、ただ相手を想い、相手を喜ばせることに、幸せを感じること。
この物語を読むたび、私は「母性愛」を感じます。
子の幸せのためなら、人から愚かと言われようとも、持てる限りの能力を駆使し、与え続ける母親たち。
それは時には、時間であったり、労働であったり、才能であったり、そして命であったり…。
このような無償の愛を愚かと呼ぶ人もいるかもしれませんが、人にはこのように無償で自分を愛し続けてくれる人が必要なのかもしれません。特に、物理的に与えることのできない子供にとっては。
安心でき、いつでも帰ることのできる場所、それが少年にとっては木であり、世の母親たちなのではないでしょうか?
物語の素晴らしいところは、木は能力の限界まで男に与え続けますが、能力以上のものは与えません。つまり、「限りあること」をさりげなく伝えているのです。その範疇で問題を解決せよと暗に諭しています。
世の中全てが拝金主義的な考えの中、このようにあふれんばかりの「愛」を感じる物語こそ、子供たちに読んであげたい作品です。
子供たちがこの物語を読んで、少しの安らぎと希望、そして自らが母親の大きな愛に包まれていることを感じてもらいたいと想います。
ちょっとわき道
最初に娘にこの絵本を読んだのは5歳。
その時は、「木がかわいそう」という感想でした。
年齢を重ねるごと、さまざまな経験を積むごとに彼女がこの物語から感じることは変わっていくでしょう。
私も子供を産むまでは、木の気持ちはどうしても理解できませんでした。
でも、子供の幸せを願い、子供の喜ぶ笑顔を見るたび、少しずつ「木」の心境が分かってきたような気がします。
ただ、一緒にいるだけで幸せ、その笑顔がみたい、あなたが幸せになるなら…。そんな崇高な心を持つことができるというのは、ある意味幸せなことかもしれないですね。
ちなみに、私は「母性愛」と受け取りましたが、「友愛」でも「恋愛」でも読む人によって「木」と「少年」の関係はさまざまだと想います。
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覚えていないんですけどね、
この木のひたすら与える愛が、理解はできたけど、
とても歯がゆく思ったのを思い出します。
いまでも、ただ与え続けることが、愛だと思ってはいませんが、
今読んだら、感想、変わるでしょうか…。
自分の愛情を信じていない私でも。
絵本のスレから飛んできました。
私がつい最近この絵本を読んだ時は、単に男が酷いヤツで、そんな男にひたすら与え続ける木はなんて馬鹿なヤツなんだ。
そして、それでもいいと思えるなんて、なんてせつない話なんだ、と思ってました。
自分もそういう愛を親から受けているからここまでこれたはずなのに、それに気が付かないで木と男にただ腹を立ててたなんて恥ずかしいです。
木がしていることって、ほんとはとても偉くてすごいことなのに、世の子どもがいる方の多くはそれをしてるなんて驚きです。でもだからこそ子育てって大変なんだろうなーとも思います。
ちゃんと親孝行せねば。
ついでにトラックバックさせてくださいね。
でも、やっぱり母親になってから、木の気持ちが分かりました。
そして、今までは私自身が「少年」の立場にあり、親や祖父母から、木のような無償の愛を注がれていたんだな、と気づきました。
いい絵本ですよね。
もう少ししたら娘に読んであげたいです。
こぎとさま。私も独身の時はこの本の意味があまり分からなかったのです。でも、子を持つようになって、自分が今までは少年の立場だったのが、木の立場へと変化したのに気づきました。すると、無償の愛を与える木の気持ちが理解できるようになったのですよ。
これからも宜しくお願いしますね。
masacoさま。こんにちは。木も全てを与えているというわけではないんですよね。自分のできること、能力の範囲内で少年に与えられる愛を注いでいるんですよね。だって、木って動けないし、考えてみれば何でもできるわけではありませんから。。。だからこそ、この作品のもつ意味が深いんだと気づかされるのですね。
ぜひ、読んでみたい。そして、読み聞かせもしてあげたい。と思わされました。
相変わらず、京女さんの書評はすばらしいです。
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2006/02/13 21:55 だれかがふりむいた!